2026年2月16日

「抜歯は痛いのでは?」と不安に感じて来院をためらう方は少なくありません。しかし現在の歯科医療では、麻酔技術や術後管理の向上により、痛みを最小限に抑えた安全な治療が可能です。ここでは、抜歯の流れと痛みを軽減するポイントを歯科医の立場から解説します。
まず、抜歯が必要となる主なケースには、重度のむし歯や歯周病、破折した歯、親知らずの炎症、矯正治療のための抜歯などがあります。保存が難しい歯を無理に残すと、感染の拡大や周囲の歯への悪影響につながるため、適切な診断が重要です。
治療の流れは、①診査・レントゲン撮影、②治療計画の説明、③局所麻酔、④抜歯、⑤止血・術後説明、というステップで行います。実際の抜歯時は十分に麻酔を効かせるため、「強い痛み」を感じることはほとんどありません。感じるのは、押されるような圧迫感程度です。
痛みを抑えるためのポイントとして、まず表面麻酔の使用があります。注射前に歯ぐきの感覚を鈍らせることで、麻酔時のチクッとした痛みを軽減します。また、細い注射針やゆっくりとした麻酔注入も、痛みの軽減に効果的です。さらに、炎症が強い状態では麻酔が効きにくいため、必要に応じて抗菌薬や消炎処置を先に行うこともあります。
抜歯後の痛みは、術後の過ごし方によって大きく変わります。処方された痛み止めを適切に服用することに加え、当日は強いうがい・飲酒・激しい運動を避け、安静に過ごすことが重要です。また、傷口の血餅(かさぶた)が取れると「ドライソケット」という強い痛みの原因になるため、指や舌で触らないよう注意しましょう。
現在の抜歯は、単に歯を抜くだけでなく、患者さまの不安や痛みに配慮した医療へと進化しています。不安な点があれば事前に相談することで、より安心して治療を受けることができます。早めの対応が、治療の負担を軽減する第一歩です。
引用文献(世界的に引用される代表的研究)
McGrath C, Comfort MB, Lo EC, Luo Y. Changes in life quality following third molar surgery – the immediate postoperative period. British Dental Journal. 2003;194(5):265–268.
よくあるQ&A
Q1. 抜歯の麻酔は痛いですか?
A. 表面麻酔や細い針を使用することで、注射時の痛みは最小限に抑えられます。多くの方が「思ったより痛くなかった」と感じられます。
Q2. 抜歯後の痛みはどのくらい続きますか?
A. 個人差はありますが、通常は2〜3日がピークで、1週間程度で落ち着くことが多いです。処方された痛み止めでコントロール可能です。
Q3. 抜歯後に気をつけることはありますか?
A. 強いうがい、喫煙、飲酒、激しい運動は避けてください。傷口を触らず、安静に過ごすことが回復を早めるポイントです。
監修執筆:豊中服部ノボ歯科・矯正歯科クリニック院長 幸田昇