2026年2月17日

「抜歯は痛そうで不安」「どんなことをされるのか分からない」——初めての抜歯を控えている方の多くが、このような不安を抱えています。しかし、現在の歯科医療では痛みや負担を最小限に抑えた安全な治療が可能です。今回は、抜歯当日の流れと注意点について、歯科医の視点からわかりやすく解説します。
まず来院後、体調の確認や治療内容の最終説明を行います。高血圧や服薬中のお薬(特に血液をサラサラにする薬)がある場合は、安全に配慮した対応が必要なため、事前の申告が重要です。
治療は局所麻酔から始まります。麻酔注射の前に表面麻酔を行うことで、注射時の痛みを軽減します。十分に麻酔が効いたことを確認したうえで抜歯を行うため、治療中に強い痛みを感じることはほとんどありません。抜歯にかかる時間は、歯の状態にもよりますが、数分〜30分程度が目安です。
抜歯後は、出血を止めるためにガーゼをしっかり噛んでいただきます。止血が確認できたら、当日の過ごし方や注意点について説明し、必要に応じて痛み止めや抗菌薬を処方します。
特に重要な注意点は、血のかさぶた(血餅)を守ることです。強いうがいや患部を舌や指で触る行為、喫煙、飲酒、長時間の入浴、激しい運動などは、出血や「ドライソケット」の原因になるため当日は控えましょう。食事は麻酔が切れてから、刺激の少ない柔らかいものを選ぶと安心です。
また、抜歯後に軽い痛みや腫れが出ることはありますが、多くは数日で落ち着きます。出血が止まらない、強い痛みが続く、腫れが悪化するなどの症状がある場合は、早めに歯科医院へ連絡することが大切です。
抜歯は、虫歯や歯周病の進行、親知らずのトラブル、矯正治療など、口腔内の健康を守るために必要な処置です。事前に流れと注意点を理解しておくことで、不安を減らし、安心して治療を受けることができます。
引用文献(世界的に引用される代表的研究)
Blum IR. Contemporary views on dry socket (alveolar osteitis): a clinical appraisal of standardization, aetiopathogenesis and management. Int J Oral Maxillofac Surg. 2002.
Daly B, et al. Essential Dental Public Health. Oxford University Press, 2013.
van Wijk AJ, Hoogstraten J. Anxiety and pain during dental injections. J Dent. 2009.
よくあるQ&A
Q1. 抜歯はどのくらい痛いですか?
A. 局所麻酔を十分に効かせてから治療を行うため、処置中の痛みはほとんどありません。術後は軽い痛みが出ることがありますが、処方された痛み止めでコントロールできます。
Q2. 抜歯後はいつから食事できますか?
A. 麻酔が切れてから可能です。抜歯当日は、熱いものや硬いもの、刺激物は避け、柔らかい食事をおすすめします。
Q3. 仕事や学校は休んだ方がいいですか?
A. 通常の抜歯であれば、当日から日常生活は可能です。ただし、激しい運動や長時間の入浴、飲酒は控えてください。
監修執筆:豊中服部ノボ歯科・矯正歯科クリニック院長幸田昇