2026年3月29日

All-on-4でできること・できないこと
歯を多く失った方や総入れ歯に悩んでいる方にとって、近年注目されている治療法が「All-on-4(オールオンフォー)」です。少ない本数のインプラントで固定式の歯を支えることができるため、従来の治療と比べて身体的・経済的負担を抑えながら機能回復を目指せる方法として広く普及しています。ここでは、All-on-4で「できること」と「できないこと」を明確に解説します。
All-on-4とは
All-on-4とは、片顎に4本のインプラントを埋入し、その上に連結した人工歯を固定する治療法です。骨の量が限られている場合でも、インプラントを傾斜させて埋入することで骨移植を回避できるケースがある点が特徴です。
All-on-4でできること
1. 少ない本数でしっかり噛める
従来のインプラント治療では多数のインプラントが必要になる場合がありますが、All-on-4では最小4本で固定式の歯を支えることが可能です。これにより、しっかり噛める機能回復が期待できます。
2. 総入れ歯からの改善
入れ歯のズレや違和感に悩んでいる方にとって、固定式のAll-on-4は大きなメリットがあります。取り外しの必要がなく、食事や会話の快適性が向上します。
3. 治療期間の短縮
症例によっては、インプラント埋入当日に仮歯を装着できる「即時負荷」が可能です。これにより、見た目や機能を早期に回復できます。
4. 骨移植を回避できる可能性
インプラントを斜めに埋入する技術により、骨の少ない部位を避けて治療できるため、大がかりな骨造成手術を回避できるケースがあります。
All-on-4でできないこと
1. すべての症例に適応できるわけではない
重度の骨吸収や全身疾患がある場合など、All-on-4が適応とならないケースもあります。精密検査による適応判断が不可欠です。
2. 天然歯と同じ感覚を完全に再現することは難しい
インプラントは天然歯とは異なり歯根膜がないため、微妙な感覚の違いが生じることがあります。
3. メンテナンスが不要になるわけではない
固定式であっても、日々の清掃や定期的なメンテナンスは必須です。適切な管理を行わないとインプラント周囲炎のリスクが高まります。
4. 自費診療で費用が高額
All-on-4は高度な治療であるため、基本的に自費診療となります。費用面も含めた総合的な検討が必要です。
All-on-4は精密診断が成功の鍵
All-on-4は、適切な診断と治療計画によって高い成功率が期待できる治療法です。CTによる骨の評価や咬合分析などを行い、長期的な安定を見据えた設計が重要になります。
歯を多く失った場合でも、機能性と審美性を両立した治療が可能な時代です。自分に合った治療法を選択するためにも、専門的なカウンセリングを受けることが大切です。
【引用論文】
Malo P, Rangert B, Nobre M.
“All-on-4 immediate-function concept with Brånemark System implants for completely edentulous mandibles.”
Clinical Implant Dentistry and Related Research, 2003.
Malo P, de Araújo Nobre M, Lopes A.
“Long-term outcomes of All-on-4 concept for edentulous rehabilitation.”
Journal of Clinical Periodontology, 2011.
これらの研究は、All-on-4の長期予後や成功率に関して世界中で広く引用されている代表的な論文です。
よくある質問(Q&A)
Q1. All-on-4はどのくらい持ちますか?
A. 適切なメンテナンスを行えば10年以上使用できるケースも多くあります。定期的な検診が重要です。
Q2. All-on-4は痛みがありますか?
A. 手術は麻酔下で行うため、処置中の痛みはほとんどありません。術後は腫れや違和感が出る場合があります。
Q3. 入れ歯からAll-on-4に変更できますか?
A. はい、多くのケースで可能です。骨の状態や全身状態を確認したうえで治療計画を立てます。
監修執筆:豊中服部ノボ歯科・矯正歯科クリニック院長 幸田昇